ハコフグのパズル

旅と釣りと写真が好き。

交通困難地温泉「三斗小屋温泉」へ行く

皆さんは交通困難地という言葉をご存知だろうか。

 

交通困難地とは日本郵便が指定している道が険しかったりまたは陸の孤島と呼ばれる一般道路と寸断されている場所、届けても利益が出ない場所、一般人立ち入り不可能な場所等で郵便物の配達をすることができない場所である。

交通困難地・速達取扱地域外一覧 http://www.post.japanpost.jp/about/yakkan/1-7.pdf

交通困難地 - Wikipedia

いい例が硫黄島、この島はご存知の通り自衛隊が管理しており慰霊来島以外は基本的に認められない。そのため指定を受けている。

 

そんな交通困難地にはいくつかの温泉地が指定されており関東から比較的近い那須岳付近に三斗小屋温泉という温泉地があるという。こういう秘湯は男のロマンだ、早速行ってみよう。

 

 

 

早速行ってみようと言うものの三斗小屋温泉とはいったい何処だろう。那須岳の裏くらいのイメージしか無いのでGoogle Earthで検索してみよう。

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 はい

 

とても山奥ですね。

 

目的の三斗小屋温泉は太平洋側から見ると俗に言う那須岳と言いくるめられる茶臼岳や朝日岳を越えた先の山奥にある。そのため軽いノリでは絶対に行けないので出発前にしっかりとした登山用の装備を整える。山頂付近まではロープウェイで行くこともできるがその先が初級〜中級者向けの登山コースとなるため高尾山等でよくよく問題となっている軽装やサンダル等で行くとかなり痛い目を見るため注意してほしい。道標はあるものの圏外の場所もあるため地図を持たない登山は初見でフラッシュを持たずイワヤマトンネルに特攻する以上にリスクを伴う。地図は必ず持っていこう。あとは着替えや食料、水を揃えよう。

 

 

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黒磯駅から始発の那須ロープウェイ行きのバスに乗る。ロープウェイで行くにも徒歩で行くにもこのバスに乗る。ちなみに地方のバスでもWifiが車内で使えるようになっていて驚いた。ちなみに登山口には駐車場もあるのでマイカーでもOK。

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黒磯駅から1時間ほどで那須ロープウェイ山麓駅に到着。天候に恵まれ綺麗に晴れていた。実はかれこれ3回程三斗小屋温泉へ行こうと試みるも天候に恵まれず行けてなかった経緯がある。那須岳一帯は晴れてても山の上は20mを超える風が吹き荒れることもあり実際先週は快晴でも風速26mを記録して登れなかったという話も聞いたので天気予報サイトで調べたり那須ロープウェイの公式ツイッターでその日の朝の天候状況をお知らせしてくれるので忘れずにチェックしよう。

また三斗小屋温泉は日帰り入浴はしておらず宿泊しか受け付けていないため1泊2日の行程になる。なので翌日の天気も必ずチェックしてほしい。三斗小屋温泉一帯は圏外のため現地では自らの手で調べることはできないので必ずチェックしよう。お兄さんとの約束だ。

 

行けないより帰れない方が嫌ですからね。

 

 

ロープウェイだと楽ちんだけども登山も楽しみたいため登山口へ向かう。

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登山口手前に登山指導センターがあるためここで登山者カードを記入。ロープウェイで行く場合も駅に記入コーナーがあるためそこで記入しよう。

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今回のコースは登山を楽しみたいのもあり峰の茶屋跡から茶臼岳、朝日岳を経由し熊見曽根から隠居倉を通り三斗小屋温泉に向かうルートにした。これは遠回りのルートのため直接行く場合は登山口or山頂駅から峰の茶屋、避難小屋経由または登山口→峰の茶屋or山頂駅から牛ヶ首、姥ヶ平、沼原分岐経由で行くルートがありこちらのが一般的なルートで登山口やロープウェイ駅からでも約2時間ほどで着くことができる。f:id:kylemagi:20180627151953j:image

登山口の鳥居を潜り登山道へ。この日は天気がとても良いので多くの登山者が山に入っていた。森林限界を超えるまではひたすら森の中を登る。登山は登り始めが一番キツく感じるのは自分だけだろうか?体が動きにまだ慣れてないのか今回の行程で一番キツかった気がする。

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森林限界を超えると一気に視界が開けてくる。天気がいいから最高の景色だ。こういう景色を見ると俄然力が湧いてきて気がつけば体も慣れてきてキツくなくなる。2枚目の真ん中にある赤い屋根の峰の茶屋跡まではあと少しだ。

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登山口から45分ほどで峰の茶屋跡に到着。登山口が標高1460mでここは1720mなので260m登ってきたことになる。ここで道が茶臼岳、朝日岳、三斗小屋、登山口方向と4つに分かれているため拠点のような形となる。ちなみにここは強風が吹き荒れる場所として有名のため注意が必要で過去には風で人が吹き飛ばされて滑落する事故も発生しているため注意してほしい。この日は穏やかで遠足の小学生達も楽しそうに休憩していた。

 

それではここから三斗小屋温泉方面を見てみよう。

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三斗小屋温泉は右下にある小屋

 

 

 

 

 

 

 

ではない。

 

あの小屋は避難小屋で三斗小屋温泉は左側に広がる森の奥の方だ。ここから徒歩で1時間だからかなりとんでもねぇ山奥にあるのは一目瞭然だ。

ここから一本道で三斗小屋温泉へ行けるが先程の下の避難小屋まで一気に急勾配を下らなければならなく

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かつ一部区間がガレ場と呼ばれる岩クズや砂利で滑りやすい斜面の道を歩かないといけないため靴、装備はしっかりとして細心の注意を払って通ってほしい。風の強い日は強風に煽られ最悪滑落事故に繋がるのでダメそうだったら引き返すほうがいいかもしれない。天候やトラブル等で行けない場合は連絡すればキャンセル料は取られないので引き返す勇気はいつも頭の中に入れておいて欲しい。避難小屋から先は比較的歩きやすいコースとなっている。

 

この道写真だけ見ると中南米の命知らずのトラック野郎が走ってそう。

 

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まずは茶臼岳に向かう。登って行くとさっきまでいた峰の茶屋避難小屋が小さく見える。ちなみに右上にある山が後で上る朝日岳だ。

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峰の茶屋から30分ちょっとで茶臼岳に到着。この辺りでは三本槍岳と肩を並べトップクラスの標高となっている。ロープウェイ山頂駅からも30分くらいで行くことができる。

火口をぐるっと1周できるように道ができているのでロープウェイで来てふらっと散策するにはちょうどいい。

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 山頂には小さいながらも神社があり鳥居にはエゾハルゼミがとまって一生懸命鳴いていた。いやいやお前もうちょっと低い所にいるセミだろ…。ここで鳴いてもメスはいないぞ…。

 

山頂で少し休憩してから峰の茶屋に戻り今度は朝日岳に向かう

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朝日岳方面の道は険しい岩場が多いため鎖等を使って登る。今回のルートでは一番険しかったと思う。一歩一歩確実に足場を確かめながら登る。

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ひーひー言いながら朝日岳の分岐に到着。ここから山頂は目と鼻の先であり10分もしないくらいで登って行ける。

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ということで山頂へ。どうにかあと4m足してあげて1900mにしてあげたい…。と思うのは僕だけだろうか。

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山頂から今まで歩いてきた登山道と茶臼岳を眺める。真ん中の右肩上がりの道が登山口から峰の茶屋までの道で左上の山が茶臼岳、右にある波打ってる道が朝日岳に向かってさっきまで歩いていた道だ。こうして見ると登ってきた苦労が目に見えてきてなんか面白い。

 

朝日岳を降り分岐路に着いたのが11時半頃だったのでお昼休憩。食事と休息を取り体力を回復させここからが本番、目的地の三斗小屋温泉へ向かう。

三斗小屋温泉へは少し先へ進んだ熊見曽根という分岐から山奥の方へ進路を変え隠居倉という山を経由し三斗小屋温泉へ向かうルートをとる。

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朝日岳分岐から熊見曽根まではそう時間はかからずあっという間に着く。道標にも三斗小屋温泉の名前が見える。

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熊見曽根から見た三斗小屋温泉方面の道。この道の先に温泉があると言っても誰一人として信じてくれ無さそうだか進むしかない。左上の山が隠居倉でその裏に三斗小屋温泉は位置する、とりあえずまずは隠居倉を目指す。

この道は高山植物が多く群生しており様々な高山系の花などに囲まれていて綺麗なお花畑のようになっている場所があってなかなか面白い。ここまで来ると人も一気に少なくなるので聞こえるのはカッコウやウグイスの鳴き声くらいでまるでぼくのなつやすみのBGMのようで目と耳で雄大な自然を味わえる。お花に関しては有名どころしか知らないのでもうちょっと高山植物について勉強しておけばよかったな。

道に関しては隠居倉の手前で険しい登りがある。

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 熊見曽根から自然を堪能しつつ歩くこと約20分隠居倉(標高1819m)に到着。

ここからは会津盆地が望めると聞いて期待していたものの雲が出てきていてうっすら見えるかな…?程度だった。また天気が良い時期に来てみたい。ちなみにこの土台の隙間からヘビがにょろにょろ出てきたのでご注意を。

反対側から登ってきた登山客と情報交換し休息も完了。目指す三斗小屋温泉まではあと1.4kmだ。

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隠居倉から先は一気に山を下る。急な下り坂がしばらく続くので注意して進もう。

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真ん中にうっすら森の中から白い湯気が上がっているのが見える。ここが三斗小屋温泉の源泉だ。目指すべき場所がようやく見えてきた。しかしほんとに森の中だ。f:id:kylemagi:20180628105719j:image

山を下ると深い森に入る。この辺りは熊の生息地であるため熊鈴を装備する。効果は無いという人もいるが効果の有無は熊が決めるものなので有るに越したことはない。今回は熊や生息している痕跡は見受けられなかった。

 

しばらく森を進んで行くと段々と硫黄のかほりがしてきて「シューシュー」と湯気が上がる音がし始める。

 

 

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森が開けると突然現れる源泉。勢いよく湯気を上げている。

那須周辺の温泉のほとんどは茶臼岳の東側に位置するがこの三斗小屋温泉だけは唯一茶臼岳の西側に位置する。隠居倉の火山の熱による単純温泉のためこの山奥に位置するそう。

ちなみに何故このような山奥で源泉が発見されたのかというと康治元年(1142年)に生島某という人物がここから南に位置する板室温泉に宿泊した際に枕元に「大黒天」という神が現れ神のお告げを受け探しに行ったところ発見したという。なんということだ非常に羨ましい。僕の枕元にも現れてくれ。

 

グリーンウェルに神のお告げをした神がこの神だったらきっともっと日本で活躍したことだろう。

 

 

源泉から先はまた森に入るが比較的整備されている道(今までの道比)のため歩きやすい。

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ようやく建物が見えてくる。久々に文明を感じる。温泉を目指す旅もまもなく終わりだ。

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この建物は神社温泉、建立された年は不明だが祭神として大乙貴命が祀られている。中にはノートもありここを訪れた人のメッセージが書かれている。この旅の安全と枕元に神が現れ何かしら良いお告げをしてくれる事を祈り先へ進む。

神社の参道の階段を降り鳥居をくぐると

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遂に!

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着きましたー!

 

 

登山口から約5時間、三斗小屋温泉に到着。

この時点で急な下り坂を降りてきたので足はプルプルしているが到着時の達成感はなかなかのものだ。こりゃ交通困難地に指定されますわ。ちなみに栃木県内で指定されているところはこの地だけだ。

三斗小屋温泉には現在2軒の温泉宿があり一つは先程源泉の話で出た大黒天から名前を取ったとも言われる「大黒屋」、もう一つは露天風呂が人気の「煙草屋旅館」だ。昔は最大で5軒の旅館があり一時は遊郭までもあったそうだ。当時生きていたら山奥の遊郭というロマンに魅かれて行っていたに違いない。

今回は写真に写る煙草屋旅館さんのほうにお世話になった。

大人1泊9000円(子供は7000円)

テント場もありテント泊だと1泊2000円となる。詳しくはこちらを参照。

三斗小屋温泉 煙草屋旅館|那須の秘湯「三斗小屋温泉」の宿(那須塩原案内所)

 

 

荷物を置いて向かうはもちろん露天風呂。この日の宿泊者の中で1番に到着したので貸切だ。

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はあああぁぁぁ〜〜〜〜

 

たまらんたまらんたまらん!

 

山登りしたあとの身体に温泉が沁みる。疲労と到着した安堵感でため息しか出なかった。苦労して来て良かった…。

 

今回は午後から曇りはじめてしまったので雄大な景色を堪能することはあまりできなかったが天気がいいと夕方には山々の稜線に落ちる夕焼け、夜は満点の星空を見ながら温泉を堪能できるそうだ。これで再訪する理由ができた。

ちなみに内湯もあるので雨の日も安心だ。

 

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一部のコアな人には大事な情報である温泉タオル(無料)もちろんタオルには宿名のプリントが入っている。他にも限定のTシャツやマグカップ等も販売しており行った記念品がゲットできるのは嬉しい。もちろん買った。

 

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風呂上がりはもちろんビール、宿で買う事ができキンキンに冷やされたビールは山登りして温泉に入った身体には最高の贅沢だ。たまらねぇぜほんと…。

 

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三斗小屋温泉は山奥に位置するためもちろん圏外だ。宿は自家発電のためコンセントも無い。

今の時代、ネットが無いと生きていけないという人には辛いかもしれないが言い方を変えれば現代のデジタル情報社会から逃れられる自由な空間とも言えよう。SNS等を気にせず好きな時に温泉に入りビールを飲んで眠くなったら寝ればいいし暇になったら散歩するなり読書するなりボケーっとするなんて最高の休日じゃないか(行くまで苦労はするけど)羽を伸ばすとはこの事なんだろうなぁと思いながらマターリする。そんな休日がたまにあってもいい。というか今の時代には必要だ。

 

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ちなみに煙草屋旅館は名前のわりに全館禁煙だ。どうも煙草屋の名前の由来は昔、三斗小屋を経由して煙草など物資を運んでいたことに由来するそうだ。多分この宿に泊まる人全員が思う事なんだろうけど。

 

結局そんな気ままなようにすごしていたらあっという間に夕飯の時間。

 

食事の時間は宿の人が太鼓を打ち鳴らして知らせてくれる。なんともアナログ。

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食事は質素だ。もちろん食材は宿の人が麓から担いで持ってくるので仕方ない。昔は物資を担ぎ山を登る人のことを強者と呼んでいたそうだ。そういう人たちが苦労をしながらも精一杯もてなしてくれることに感謝して頂こう。白米はおかわりできるので自分でおかずを持ってくるのもいいかもしれない。

 

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夜にもう一度露天風呂に入るものの曇りでやはり星空は拝めなかったが夜の温泉旅館もなかなかの風情を醸し出していた。

 

夜は近くを流れる沢の音だけが心地よく響く。結局消灯時間までビールを飲みながら読書をしていた。この地でできる最高の贅沢だ。

 

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21時に消灯となる。灯りが全くなくなる為、予約時に言われるがヘッドライトなりランタンを持って行こう。この日は疲れもあるので消灯後即就寝した。

 

 

翌朝、朝風呂を堪能し出発。

確実に筋肉痛となると思っていたが温泉パワーのおかげなのか全く痛くなかった。あまり温泉の効能は体で感じる事はできないがやっぱり温泉ってすげーわ。

 

この日は下山する前に寄り道をして帰る。どこに寄るかというと近くにある三斗小屋関所跡だ。

三斗小屋は昔、江戸から会津までを結ぶ会津中街道の関所があり近くに宗教的に信仰されていた白湯山や鉱山があり明治初期頃まではそこそこ栄えていたそうだ。鉱山の閉鎖、交通網の発達により街道も廃れそれと共に60人ほど住んでいた三斗小屋の地も昭和に入り無人になってしまった。そんな跡地を見てみたい。

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例によってまた山道を行く。三斗小屋温泉から関所跡まではひたすら下り道なので行く分には楽だ。帰りはキツいけどネー。

 

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1時間ほど歩くと廃墟が森の中から現れる。手持ちの地図には廃村跡と書かれているため当時の集落の痕跡なのだろうか。流石に中に入るのは怖いので遠くから眺めて先を進む。

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廃村を過ぎるとすぐに那珂川の源流にぶち当たる。水浴びしたいくらいの綺麗な渓流だ。ここまでは板室温泉方面から一応車で来れるそうだ。未舗装の林道をしばらく走らないといけないそうだが三斗小屋温泉まで楽に行くならここまで車で来て山を1時間ほど登るのが一番楽なのかもしれない。

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そこから約5分ほどで森が開けてる場所がある。ここが三斗小屋関所跡だ。

今は森の中の原っぱと化しているが栄えていたころはここが宿場街であり50件ほどの家や精錬所があったという。

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ただ原っぱが広がっているというわけでもなく今は無人の地となっているものの当時の説明が書かれた看板や復刻された灯籠が置かれている。

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少し道をそれた所には大きな鳥居がある。これは近くにある白湯山(山ではなく正確には温泉の源泉)が山岳宗教霊場として信仰され江戸時代から昭和初期まで多くの参拝者が訪れていたときに三斗小屋宿に設置されていた鳥居で慶応4年の戊辰戦争でこの地で激しい戦いがあり(三斗小屋の戦い)その戦禍を受け崖の下に落ちたものを明治時代に復刻したものなんだそう。近くにある墓場にはその戦いで亡くなった人を供養する石碑もある。今は無人の地と化してしまっているがこう様々な歴史があると知るとなかなか趣深い。

 

関所跡を観察後は来た道を引き返し三斗小屋温泉に戻る。帰りはひたすら登り坂のため結構きつい。

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帰りのルートは温泉→沼原分岐→峰の茶屋→登山口の最短ルートで帰る。振り返って温泉を見ると森の中から突然現れるように見える。このルートで到着した時の達成感も半端ないのだろう。しばらく進むと見えていた建物は森の中に埋もれてしまった。

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夏の森は美しい。

このルートは道としては整備されている方なので歩きやすい。途中で延命水と呼ばれる湧水もあるためおススメだ。先に書いたガレ場だけ気をつけよう。

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約1時間で峰の茶屋まで戻れる。峰の茶屋から三斗小屋温泉方面を振りかえって見てみるとこの日は雲が多く雲海ができていた。こんな山奥を駆け回っていたと思うとなんだが面白い。強風で有名な峰の茶屋は千葉マリンスタジアム並みに風が強かったため長居せずさっさと下山した。

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無事下山。那須の山々ありがとう。

 

いかがだっただろうか。山奥すぎる秘湯三斗小屋温泉、体力勝負なところも少しあるが行く価値は十分にあると思う。行かれる場合はしっかりとした準備、天気のチェックを忘れずに行って欲しい。天気のいい日に露天風呂に入りたいしもう一軒の温泉宿の「大黒屋」さん(今回全く紹介できずゴメンナサイ…)にも宿泊してみたいのでまた何度が訪れたいと思う。また他にも交通困難地には何件か温泉地が指定されているため行ってみたいと思う。

 

苦労して行く温泉はとてもいいぞ