ハコフグのパズル

旅と釣りと写真が好き。

東京都青ヶ島村に行った

 2017年の9月頭に遅めの夏休みをとりアクセス至難、絶海の孤島と呼ばれる東京都青ヶ島へ行ってきた。

 

 

学生の頃より行ってみたかった島で夏休みをとるも行くところがなくどうしようか考えた末「そうだ、青ヶ島へ行こう」と思いついたのが行くことになったきっかけである。

京都行くんじゃねぇんだからと周りに言われたのは気にしない。

 

青ヶ島へ行くにあたってもっとも大事なのは交通手段である。

海底火山が隆起してできた島だからもちろん砂浜なんてない。イメージとしては富士山の山頂が海に飛び出てるイメージ。島の周囲は断崖絶壁、港も岩場に無理やり作ったもんだから波が高く接岸が難しく1日1便八丈島から船があるが就航率はそこまで高くない。

確実性があるのは八丈島空港から出てる東京愛らんどシャトルというヘリコプターで行くのが良い。もちろん天候には左右されるがとりあえず船よりかは信頼できるので今回はヘリコプターで行くことにした。定員9人だけど。

行ければべつに帰ってこれなくてもいいんだから。働きたくないしな。

 

予約の電話は搭乗日の朝10時からできるそうなので先輩に頭を下げて休憩を変わってもらい電話で予約。考えることは皆同じで9席と限られた予約を求めるため一斉に電話をするため回線が込み合う。リダイヤルを200回くらいしてようやく繋がって往路、復路共に予約ができた。

 

そしてついに出発当日の9月3日。

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 台風15号の影響が心配だったが天気は回復し羽田空港上空は青空が広がっていた。

 

朝の八丈島行きの飛行機で八丈島空港に降り立つとロビーが人で溢れかえっていた。

台風の影響でどうも3日か飛行機が飛ばなくキャンセル待ちの人が空港に押し寄せてたみたいだ。キャンセル待ち番号の案内放送が流れるたびに歓声が上がってたのがちょっと面白かった。

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東京愛らんどシャトルのカウンターは八丈島空港の端っこにある。ここで搭乗手続きをおこなう。手荷物は5キロまで無料でそれ以降は1キロごとに230円超過料金がとられる。

撮影機材があったため合計18キロくらいになってしまったがためにそれなりの料金を取られた。

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滑走路を歩いていざ搭乗。トップガンみたい。

初めてヘリに乗ったがプロペラ音はするものの思ったほど揺れずに快適だった。

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飛び始めて約20分くらいで目的地である青ヶ島が見えてくる。この光景わくわくすっぞ!

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上空からすーっと下降し無事に青ヶ島に上陸。台風の影響でヘリもしばらく飛んでいなかったらしくヘリポートには大勢の見送りの人たちが来ていた。

ヘリポートには今回お世話になる民宿あおがしまやの方が車で迎えに来てくれていた。

歩いてもすぐ行ける距離だが青ヶ島はアップダウンが多いので近くても車移動のが快適だ。

宿で休憩したのち散歩がてら島の集落付近を散歩することにした。

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離島あるあるの島に唯一ある信号機。子供たちが交通ルールを学ぶために小中学校の前に作られている。

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島の最北端にあるジョウマンと呼ばれる場所には牧場があり牛が数頭のんびりと暮していた。うらやましい。

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島にはネコも多く見かけた。

夕方となり海の方を見ると晴れ間が島に迫っていたので島の最高点(423m)の大凸部へ登ることにした。

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登り口は車両よりも人も入り辛い感じがしたがとりあえず突き進む。

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草木と苔に囲まれた道を進む。余談だが青ヶ島コガネムシが大量に生息していて島の至る所で見ることができるが最近では多すぎるために島の子供限定で1匹1円で換金できるそうだ。なんとも羨ましい。僕が子供だったら乱獲してやるのに。

 

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 20分ほど登ると頂上の展望台に到着。目の前にずっと前から見たかった絶景が広がっていた。

持ってきた大判カメラでシャッターを切り続けデジタルでも切り続けあっという間に時間は過ぎて行った。写真を撮り終えてもこの風景に心を打たれしばらく展望台から降りることはできずずっとこの風景を眺めていた。約1時間半はいたと思うがその間はとても短く感じあっという間であった。波の音と風の音しかしない山の上で一人風景に浸った。

大凸部から戻ると夕飯。この日は宿の宿泊者の人達と店の前でバーベキューをした。

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青ヶ島らしく朝釣ったシマアジの刺身や青ヶ島産焼酎の青酎等が食卓に並んだ。

島では刺身の薬味には島唐辛子を使うが醤油の中でつぶして食べるものだと思って潰したら地獄を見た。予想以上の辛さだった。

島唐辛子は潰さずに浸して辛味がじわじわ出てくるのを待つのが正しい食べ方だそうなので注意されたし。

この日は晴れてはいたものの夜は雲が広がりはじめ楽しみだった星の撮影はすることができなかったためバーベキューに飛び入り参加した島の方々と呑んでそのまま就寝した。

 

 

2日目の朝、起きると既に朝食ができており自分以外は仕事で泊っている人たちだったので皆さんせっせと朝食を食べていた。

 

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朝の運動がてら大凸部に登る。海の向こうまでどんよりとした雲が広がっている。この日は2重カルデラの中に入り島唯一稼働してる港の三宝港へ歩いて向かう予定だ。

カルデラ内に入る前にヘリポートに寄りヘリの見送りを見に行くことにした。

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この日も10人ほどが見送りに来ていた。ヘリに乗って八丈へ向かう人の家族やお世話になった人たちは見送りに来るそう。良い風習だ。

青ヶ島カルデラ内に入るにはカルデラの渕を登りそこから歩いて行かなければならない。行きは下り坂だから楽勝だが帰りは火口の底から渕の上まで登らないといけないためかなりしんどい。火口に降りて降りてきた急な坂道を見て若干後悔した。

 

火口から空を見上げると空が丸かった。青ヶ島を知らない友人らにはイメージとしてポケモンのルビー・サファイヤに出てくるルネシティみたいな感じと言ったら皆納得してくれたがそこのの住人のセリフで「ルネの住人は空が丸いと思ってる」というのがあたがまさにそれだった。

市街地から写真を撮りつつのんびり歩いて1時間半ほどで三宝港に到着。

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先述したとおり断崖絶壁の島であるため波が高いことが多く漁船はクレーンで海から釣りあげて高台に置かれる。クレーンが動いているところを見たかったがこの日も海がやや荒れていたため見ることはできなかった。

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しばらくして八丈島青ヶ島を結ぶ定期貨客船あおがしま丸がやってきた。波が高いため朝の町内放送で条件付き就航と流れていたけどなんとかやってきた。港に停泊している時も左右に揺れていて船酔いが辛い人にはほんとキツイ船なんだろうなと思った。次に来るときはこの船にも乗ってみたい。

 

三宝港から二重カルデラ内にあるもう一つの山である丸山に向かう。ここは地熱窯と呼ばれる地熱を利用した窯とサウナがある。サウナは夕方からで利用することはできなかったが地熱窯を使うことに。出発前に民宿の人よりお弁当をいただきそれを地熱窯で蒸す作戦だ。

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これが地熱窯。周囲に10箇所ほどある。これ魚の干物やジャガイモ、ソーセージを入れて約30分ほど待つと

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いい感じに蒸されて出てきた。島の特産であるひんぎゃの塩をかけて美味しくいただいた。初めてくさやを食べたけど思ったほど臭くなく美味しくてびっくりした。

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こちらはサウナ。16時から開店だったため今回は寄らなかった。

 

ご飯も食べてさぁ帰ろうかと思ったところでスコールに遭遇。傘もなく途方にくれていたら車で通りかかった島のお兄さんが宿まで送ってくれた。島の人達はほんと優しくしてくれて感謝の言葉しかない。

 

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港とヘリポートの様子は町内放送でライブ配信され字幕でヘリや船の運行予定が流れる。大事なライフラインだもんね。

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ちなみにテレビはしっかり映る。都内らしく東京MXも映り水曜どうでしょうも見れた。

ドコモの通信回線は終始3G回線でした。

 

夕方になり青ヶ島産の焼酎である青酎の製造工場の見学へ向かう。もしこれから島に行かれて見学したい方は宿の人に行きたい旨を伝えると工場に話を通してくれる。

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青酎は本来は島で飲むように作られたお酒だそうで製造数も少なく本土にもなかなか出回らないため幻の酒とも呼ばれるがそんなお酒を一本一本、杜氏さんや使ってる麹の違い等細かい説明を受けながら試飲することができる。右の同じラベルが並んでるのは作っている杜氏さんは違うが一人一人違うラベルを作ると経費がかさむため皆ラベルを同じにしているという。なんともローカル。

個人的に一番飲みやすかったのは一番左の「青酎麦」と左から5番目の芋焼酎の「喜久一」だった。両方とも癖が無くスッキリとしていて飲みやすかった。もちろんお土産で買って行ったのは言うまでもない。是非とも飲んでいただきたいお酒だ。

 

ほろ酔い気分で宿に戻り夕飯、この日の夕飯は島寿司だった。

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青酎とともにいただきます!

青酎のグラスは非売品だそう。かっこいいんだけどなー。

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島唯一の商店で買った青ヶ島マグネット。Twitterに写真をあげたらかなりの反応があってびっくりした。最高にクール。

この日はそのまま寝た。

 

 

最終日の朝を迎えた。数日先までヘリに空きがあったためもう少しいたかったけど翌日から天候が荒れそうだったため帰ることに。

帰る前にお気に入りの場所と化した大凸部に登ることにした。

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この日は霧が出ていたが海上にも霧が出ていて雲のように見え山の山頂にいるような気がした。この場から移動するのが本当に惜しかったが最後に深呼吸して山を降りた。

宿の人にヘリポートまで車で送っていただきヘリに搭乗。あっという間に離陸し八丈に着いた。

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ちなみに翌日のヘリコプターは欠航だった、あぶねーーー。

八丈島を散策し夕方の飛行機で羽田に戻った。9月頭の東京だったが少し肌寒かった。

 

3日間という短い間だったがとても内容が濃く夢のような3日間だった。今でも本当に行ったのかどうか夢でも見ていたのではないかと思う。島の皆様には本当にお世話になりました。この場を借りてお礼を申し上げます。ここに書いたのはまだまだほんの一部であるが是非とも1度は行ってみて自分の目で青ヶ島を体感していただきたいと思う。またこの記事が読者の皆様の旅の参考になれば幸いだ。

僕も時間が生まれればまた行ってみたいと思う。レンタカー借りてもっと島を回りたいし釣りもしたいし星空眺めたいしね。

 

冒険は終わらない。